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大島みらい新聞No.19

こんにちは。神戸大学の田中はつみです。

今回は、みらい新聞No.19の大島人のコーナーで掲載させていただいた「いわしの会」の菊池さん、白川さん、小野寺さんにお話を伺いました。

—当時のインタビューがちょうど2年半前になるのですが、その頃から団体の活動や大島への思いなど、何か変わってきたものはありますか?

菊池さん:

補助金をいただいて活動の幅が広がったというか、余裕ができたので、絵本やメンバーでは買えないような大型絵本、パネルシアター、プリンターなど、いろいろ活動の助けになるものを購入しました。

メンバーは、一人は増えたかな?どうだったかな?

今は全員で11人でやっています。増やしたいと思うんですけど、中々難しいですね。でも減らないでがんばっています。

-補助金をいただくようになったのはいつ頃からですか?

白川さん:

平成28年の4月から使えるようになりました。

菊池さん:

今年の3月までなので一生懸命予算を使い切ろうとしています。笑

この前の2月の25~26日に遠野で語り部のお祭りがあったので、メンバー11人中8人が参加して行ってきました。

小学生がやる語り部もあるんですよ。小学校の先生のお話によると、1年に1つ、だから6年生になるまでに6つ覚えようっていう目標を持ってやってるみたいです。

白川さん:

ああゆうお祭りにも参加するし、地元でもっと小さく近所の人たちとか学校の中で覚えたのを発表する機会もあるみたいです。でも子供達は正直でね、先生達に言われるからって。笑

菊池さん:

そうそう。笑

自分たちで積極的にってよりかは、仕方なくってかんじだよね。笑

でもやっぱいいですよね。地元の民話を覚えるというか身につけとくっていうのは。

-子供ってやっぱり年々少なくなってきていますか?

白川さん:そうですねえ。在校生が今全部で50何人かな。各学年10人もいないから、7名とか9名とか。だから教室に行っても4人が2列とか。前は1列に5〜6人いたから横で見えない人は3列目に移動して、とかもあったんだけど。

今はもう机も一緒に並べて座っても大丈夫なくらいの読み聞かせの人数でね。

菊池さん:

3月で今年度は終わって4月からまた始まるんですけど、回数としては同じですかね。

白川さん:

同じなんですけど、小学校は5〜6年生の高学年がいなくなって、1〜4年生だけになるんですよね。1年に9 回ですかね。

-学校やPTAとのやり取りはどのように行ってきたのですか?

菊池さん:

今はいわしが発足した時期の先生達はもういないし、元々は学校からの要望で始まった会なんですけど、今ではこっちから無理くり入っていってるイメージというか。だから、改めてこれは学校からの要望で始まったっていうことを知って欲しくて、うまく引き継ぎができてなかったみたいで、だから歴史というかそういう資料をつくりました。

白川さん:

震災後、支援の本をいっぱいもらって、その記録とかが大変だろうっていうことで、図書ボランティアってのが始まったんですよ。本の整理っていうか。新しい本とか重複したのは廃棄に回したりね、、、今思えばもっともらっておけばよかった笑

大人になっても図鑑っていうのは面白いんですよね。

菊池さん:図鑑とか辞典はその時その時で変わるんですけどね、でもそれでもその時のでね、

本も場所取ったり重かったりして保管も大変なんですよね。

菊池さん:

実はPTA の方は、2年くらい前に、感謝状をいただいたんです。活動に対してありがとうという気持ちのね。それもちゃんといわしルームにかざってあります。いわしルームってのは、勝手に呼んでるんですけど笑、前の校長先生が空き教室を使っていいって言っていただいたんです。子供達が減って使ってない空き教室がいっぱいあるんですよね。話は戻るんですけど、最初補助金を申請した時に、本を保管しておく場所がないのが原因でダメになっちゃったんですよ。こっちは簡単に保管場所として児童館って考えてたんですけど、児童館は児童館で子供達が出入りするし、ちゃんと管理できないんじゃないかってなって。でも個人の家とかよりやっぱりどっかないかなってなって、小学校の空き教室は?ってなったら前任の校長先生が許可くださって。一応鍵もつけてもらって、保管させてもらってます。話し合いとかはPTAルームで話すからあんまり使うことはないんですけど、今年からはいわしルームをもっと活用しようっていう思いはあります。3階なんでちょっと遠いんですけど笑

でもとりあえず大型絵本とかパネルシアターとかいろんな備品をそこに置けばいわしルームとしうまく使えてるのかなとは思います。何年使えるかわかんないし合併とかもまたあるんだけど、とりあえず使えるうちは。

その時はその時でまた考えればね、先はわかんないので。今やれることをやってがんばっていきたいと思います。

白川さん:

読み聞かせもそうだけど、学校に行って子供達の姿を見てね、話をするのも癒されるのよね。年寄りばっかりだから笑

子供の声を聞くと本当に楽しくなる。

菊池さん:

楽しかったって言われるのがね、面白かったって言われるのがね、うれしいですよね。

「あ!いわしの人だ〜!」って言われるのがね。

あと!このTシャツも2年半前にはなかったよね。これも学校の先生達が作ってくれたの、かわいいでしょ?

菊池さん:

結局来年度も子供達11人が入学するんですけど、小学校の統合もいずれはって話がでているので、大島小学校だけで読み聞かせは難しくなってくるのかなあ、とは思っています。私たち自身も子供達相手だけでは今後先細りじゃないですけど、年配向けとかも考えていこうと思っています。

去年、昔は鹿折地区にあった春圃園が、震災で60何人亡くなったんですよね。それが今移転してリバーサイド春圃ってのが新しくできたんです。そこで、2~4階に入所している人たちがいて、その最上階で紙芝居と手遊びをさせていただいたんですよ。それで定期的にっていうお話をいただいて、すごくありがたかったんですけど、大島は離島で船に乗らなくちゃいけないし交通費がかかるし、船代とそっから歩いていけるところでもないからタクシー代となると、、、

大きい紙芝居とかも持ちながらってなると負担がかかるなあって。

今いただいてる補助金は対象が子供相手だから、限られてるんですよね。対象が大人じゃないからダメだなあと思ってたら、今度いただくことになった補助金が、金額は減ったけど対象に制限がないということでいただけたので、今年度からその予算を使ってがんばりたいね、という話は今しているんです。フェリーで車で行って。そうしたら荷物も持っていけるし、春圃にも行きたいねって。

-結構年齢の幅だったりとか、行く方面だったりとか、活動を広げられてきたんですね。

菊池さん:

そうですね!前回行かせてもらったときは4階の人たちに向けてやらせてもらったんですけど、20人くらいはいたね。車椅子の人もいれば座ってる人もいれば、とにかく大きいホールで。マイクはなくても通った規模で。

なぜ4階だったかというと、階が上がるにつれて程度が軽くなるって言ったらあれなんですけど、下の人たちの方が認知や寝たきりの人が多くなっていくんです。4階の人たちはある程度自分で動いたり会話もしやすかったりってのがあって、最初に4階の人たちに向けてやらせてもらって、すごく反応も良くて、楽しかったんです。お手玉をやったり、昔の歌っこだったり。慣れていったらまた3階の人たちに向けてとかね、それはこれからの課題なんですけど。

30分くらいでやりました。中々いい経験をさせていただきましたね。2年半前の2014年の時はそのような経験はしていなかったので、それ以降の経験ですね。

公民館祭りっていうのも当時はまだなかったよね。公民館祭りっていうのは、1年に1回公民館が主催で、婦人会とかボランティアクラブとかいろんな団体が共催してやる島内のイベントなんです。その時にいわしも水上不二の詩を語り継ぐというかたちで、3年やらしてもらって、毎年詩を5〜6編読むのを続けています。いわしの会っていうのはこの中に「いわし」っていう詩があるんですけど、そこからとったんですよね。歌にもなってて。他にも歌になってる詩はたくさんあって、「夕焼けの道」って曲は小学校で16時の下校の時間に毎日流れるんですよ。

「アスナロウの木」という曲は一昨年くらいにNHKみんなの歌で流れたんですよね。

白川さん:

「アスナロウの木」

あのアスナロウの木をごらん

光って立っているだろう。

こずえに鳥をとまらせて、

しずかに笑っているだろう。

土にぐんぐん根をのばし、

雲のそばまで葉をひろげ、

雨ともやさしく話しあい、

夜はお星をやどらせて、

太陽のなか、風のなか、

じぶんでじぶんをつくってく。

“あすへ、あすへ”と、すくすくと、

じぶんを大きく育ててく。

いまに、においもほのぼのと、

ことしの花が咲くだろう。

やがて、みごとな建てものや、

りっぱな船になるだろう。

なんと三十二メートル、

きのうはかった、あの高さ。

じっと見てると、ひとりでに、

心があかるくなってくる。

ああ、アスナロウ、アスナロウ、

ぼくらもあんな木になろう。

菊池さん:

私、公民館祭りで「自分だけならよかろうと」を詠んだんですよ。

「じぶんだけなら よかろうと」

こどもに おはなし きかせたり、

しらない ことを おしえたり、

とても やさしい おじいさん、

ぶどうの 花さく 村でした。

たのしく くらして いるうちに、

かみも おひげも 白くなり、

ずいぶん としを とったから、

おくにへ かえると いいました。

おせわに なった 村の ひと、

「なにか、あげたい、おせんべつ。」

「白い お米が よいだろうか。」

「それとも おかねに しましょうか。」

どこの うちにも あるもので、

だれにも できる おくりもの、

「そうだ。ぶどうしゅ あげよう。」と、

みんなが もって いきました。

そんちょうさんの にわの さき、

大きな かめは、たちまちに、

いっぱいになり、おもくなり、

ふだが しっかりと されました。

おくにに かえった おじいさん、

かめを あけたら、なんのこと、

ぶどうしゅどころか、おや おや おや、

なかみは ただの 水でした。

「これは ふしぎだ。おかしい。」と、

いろいろ わけを しらべたら、

「ひとりくらいは こっそりと、

水を いれても わかるまい。」

「じぶんだけなら よかろう。」と、

「じぶんだけなら よかろう。」と、

村の おとなが だれもかも、

そうしたからで ありました。

「じぶんだけなら よかろう。」と、

そうしたからで ありました。

これはちょっと皮肉っぽいというか笑

ありえそうっていうか笑えないっていうか笑

これはちょっと面白いよね。

あとは〜、「じゃがいも」っていう詩!

いわしルームをOKしてくれた校長先生がいた時の夏あたりですね、全国図書館協会が創立100年っていう記念の大会がありまして、その時大島小学校で、朗読だったかな、アナウンサーの山根さんが来てくれて小学校5〜6年生に朗読の授業を指導したんですよ。水上不二の詩を元に。正直いうと、あんまり厳しくて泣いた子もいるんですよ笑

追い込むように言うから笑

その時にも「じゃがいも」は詠んでいましたね。

小野寺さん:じゃあ、詠みます。

「じゃがいも」

天のひかりを、

土のなかで、

とうとう、

じぶんをつくりあげたか

花のねえさんは、かんざしをさして

ある日、ちらちらと、およめにいったが、

きょうだいは、みんなまるまるとふとって、

農具になった手に掘りだされた。

にれば、

なかから、ほっくりとはじけて、

雪のようなでんぷんが、

かがやきこぼれる。

ああ、そうか、

じゃがいも、

天のひかりを、

みんなに、

ああ、そうだったのか。

その時にちょうど黒潮さんに行ってじゃがいもを掘ったんですよね。

菊池さん:

水上不二さんは他にも大島中学校の校歌とか子供会の歌とかも作ってるんですよね。

地元の詩人を広げていきたいっていうのも、読み聞かせだけじゃなくて、いわしの活動の一つですね。

だから浦の浜にウェルカムターミナルができた時は水上不二の何か展示できるスペースがあればいいんだけどねえ。

一昨年の大島中学校の校長先生が、水上不二の肖像を作って中学校に寄付したんですよ。そのまんまの実物大の。

小学校の職員室の前の廊下には、水上不二さんの写真とかレコードとか、あと原稿みたいなのがガラスケースの中に展示されてあるんです。でも写真も丸まってたりとか、保存状態ははっきり言ってよくないですね。展示っていうかただ置いてるだけになってるようにみえます。

白川さん:合併ってなったときとかにもどう保存していくかが心配だね。

(編集者:田中はつみ インタビュー:石井佑果、田中はつみ)

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